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2019年3月14日号

“目覚めた先”を意識すること

▲ホームで合図を送る野原さん


「春眠暁を覚えず」の季節  早起きのこつは?
“目覚めた先”を意識すること

転機は、兵庫県の事故
鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の運転士 野原 龍一さん


 鉾田市の野原龍一さん(37)は、水戸駅と鹿島神宮駅を結ぶ鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の運転士。2007年に廃線になった鹿島鉄道線でも運転士を務め、合わせたキャリアは17年になる。
 野原さんに聞いたのは、「早起きのこつ」だ。「春眠暁を覚えず」の季節を迎え、時間厳守が当たり前で、早朝勤務もある野原さんを訪ねた。なお、大洗鹿島線の、一番早い始発列車は、午前5時2分新鉾田駅発。
 野原さんが最初に話したのは、「始発とはいえ寝過ごすのはあり得ない」ということ。始発に関わる人は、基本的に前夜からの継続勤務。仮眠はとるが、仲間も見守っている。
 その上でも野原さんは、“起きるこつ”について多くの意見、手法を持っていた。それらは、「寝坊対策」と置き換えられるような一般的な感覚とは次元が違った。
 「今は、ボクサーの練習方法を、ネットの動画で学んでいる」と野原さん。これも“こつ”の一つだという。起きるためには、よく寝る必要があり、そのための運動だ。ただし、目的は、運動すること自体で、内容は問わない。「飽きっぽい性格なので、内容を変えながら続けている」と笑う。「仕事が休みの日もきびきびと過ごす」というのも起きるため。家族と出掛けるなどを心掛けて、暮らしのリズムは変えないという。
 「コーヒーより水で目を覚ます」は、起きてからのことを意識してのこと。コーヒーには目を覚ます強い力があるが、その効果が切れる瞬間があり、気持ちの波をつくるというのが理由。眠りにつくときは、「早起きすることを前向きにとらえること」を心掛けているという。翌朝が「早くて大変だ」ではなく、「朝から、多くの人に貢献できる」と考える。「すると心が落ち着いて、すっと眠りに入る。翌朝も気持ちよく目が覚めて、万全の体制で運転台の制御器を扱える」と野原さん。

 実際のところ、野原さんが話したのは、「早起きのこつ」ではなく、「万全の体制で制御器を扱う」こつだ。
 運転士になった17年前から考えてきたことだが、特にそうした意識を深めたのは、2005年に兵庫県で起きたJR福知山線脱線事故以降だという。同事故では、乗客と運転士を合わせて107人が命を失った。
 鉄道マンが担う責任の重さを痛感した上に、事故以降、運転席後ろの窓越しに、乗客らの視線を感じるようになったという。特に、速度計に注がれることが多くなった。
 「鉄道マンの仕事は、乗客を安全に送り届けるだけでは不十分。一切の不安を抱かせないレベルで、それを行う必要がある」と野原さん。










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