▲(写真左から)防火服の水谷直道さん、活動服の中本海斗さん、救助服の山名翔太さん、救急服の大友龍二さん
北茨城市消防本部
北茨城市消防本部(滑川昇消防長)は、同市内全域を管轄している。2016年完成の高度な機能を備えた庁舎が拠点だ。
職員数は82人。全員が消防士だが、消防(ポンプ)隊、救助(レスキュー)隊、救急隊、救急救命士、機関員、指揮隊などの役割分担があり、それぞれに“ユニホーム”がある。
消防隊や指揮隊などが着ているのは、紺色の「活動服」。燃えにくい素材でできた長袖の上着とズボンで、背中には反射材の線が入っている。
救助隊が着る「救助服」は、オレンジ色。難燃素材であることはもちろん、困難な状況でも活動しやすいように、ストレッチの効いた素材で、肘や膝などに補強がしてある。
救急車に乗る救急隊員や救急救命士が着る「救急服」は、グレーが基調。立体裁断構造で、動きやすい作り。
すぐに出動できるように、仮眠時もそれぞれの服を着たままだ。
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ゴールドの「防火服」は、活動服や救助服など、それぞれが着ている服の上に装着するもの。熱にも強く、防水性もある。上衣と下衣、ヘルメット、手袋、長靴などがセットになり、重さは約8<CODE NUMTYPE=SG NUM=5B89>。ボンベが付いた空気呼吸器を背負うこともあり、総重量は20<CODE NUMTYPE=SG NUM=5B89>にもなる。
火災発生などによる出動指令が出て、防火服を装着するまでの時間は、1分未満という早業だ。ズボンと長靴はロッカーにしまわず、前に置いてある。並べて立てた長靴に、ズボンの左右のすそがかぶせてあるという、一見不思議な形。足を入れてズボンを引き上げるだけでいい。
「10年、20年のベテラン消防士になると、流れるような早さで装着する。経験ですね」とは、庶務次席の谷川広太郎さん(52)。「不完全な装備は危険につながる。早く、正しく着ることも大切な訓練の一つ」とは、救急救命士の資格も持つ大友龍二さん(42)。
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「朝、消防士の服を着た瞬間から気持ちが切り替わる」とは、山名翔太さん(28)。中本海斗さん(23)は、「消防士の服を着ている責任を、日々感じています」。
2年目の水谷直道さん(19)は、小学5年生の時に、出身地のいわき市で東日本大震災を経験し、人命救助に励む消防士の姿にあこがれた。「先輩たちのように、この服になじむ自分になりたい。日々勉強です」