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2019年6月13日号

時代をつなぐ平安装束

▲鹿嶋市の鹿島神宮楼門前で、狩衣を着た中嶋さん

鹿島神宮の神職

 鹿嶋市宮中の鹿島神宮の楼門の前に立った同神宮の神職、中嶋勇人さん(39、権禰宜・ごんねぎ)は、「これは平安時代のスポーツ着なので、ユニホームという表現がぴったりかも」と笑った。
 中嶋さんの上半身を覆う上着は、狩衣(かりぎぬ)といって、平安時代の貴族たちが狩りを楽しむ際に着たものが、日常化した歴史がある。
 頭にかぶっている「烏帽子(えぼし)」、手に持っている「笏(しゃく)」、履いている「浅沓(あさぐつ)」もすべて、平安時代由来。浅沓は、現代の靴とほぼ同じ形の道具ではあるが、靴が西洋由来のものを指すのに対して、沓は日本伝統のものを表すという。
 この装束を着るのは主に、地鎮祭などの屋外で行われる出向祭典や、小祭(しょうさい)という比較的小規模な祭事に「奉仕する」ときだという。
 狩衣を脱ぐと、事務仕事などもできる普段着の、白衣と袴(はかまに)なる。袴には、中嶋さんが履いているあさぎ色(淡い水色)のほか、白、紫色、紫色に紫紋(もん)、紫色に白紋などがある。
 祭事は、より規模の大きい中祭(ちゅうさい)、大祭(たいさい)があり、神職の装束はそれぞれに替わる。中祭の装束は、齋服(さいふく)と呼ばれ、白一色。大祭では、神職の正装とされる正服(せいふく)をまとう。正服は衣冠(いかん)とも呼ばれ、皇室の行事などでもよくみられるものだ。齋服と正服も、平安時代からの伝統装束だ。
 狩衣、齋服、正服などの装束の変化は、今風の表現ではTPOの一種だが、有史以来ともいえる悠久の時を経て磨かれた特別なもの。
 袴の色が変わることは、神職としての昇級を意味している。サラリーマンなどの“出世”と比べられがちだが、次を目指したり、競争したりというような意識はないという。中嶋さんは、「私たちは、延々と続く時の流れの中にいる。意識していることは、謙虚さを忘れずに、古くからの伝統を未来へとつなぐこと」と話す。
 ちなみに、鹿島神宮の神職の通勤着はスーツだが、夏には、
クールビズが許されている。「時代に合わせる柔軟性も大事にしている」と中嶋さん。






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