文へスキップ

よみうりタウンニュース 毎週木曜日発行の読売の地域情報紙 発行/茨城北部読売会 制作/読売茨城タウンニュース社

TEL.029-221-6720

〒310-0805 茨城県水戸市中央2丁目7番37号
狩野ビル3階

タウンニュースARTICLE 一面記事

2019年9月12日号

職人技で挑む大仕事

 

▲店の前で、目の前の陸上競技場を指さす砂押さん。陸上競技場は式典の会場になる

笠松運動公園内食堂「よし美」の店主
砂押芳成
さん

  28日に開幕する茨城国体と、10月12日からの全国障害者スポーツ大会の開・閉会式典の会場になるなど、両大会の象徴的な場所になるのが、ひたちなか市の笠松運動公園。同園内で唯一の飲食店が、県体協会館食堂「割烹(かっぽう)よし美」だ。店主の砂押芳成さん(64)は両大会に向けて、「茨城の誇りにかけてもしっかりとやり遂げたい」と気合十分だ。
 同店の営業時間は、午前11時から午後2時。園内で大きなスポーツ大会がある際には、その間に約200人の客が入るという。国体期間中は「その3、4倍の700人前後は来るかな」と砂押さんは予想する。
 約50席の通常体制では当然、対応できない。店舗脇の屋外にもテーブルを並べ、仮設調理小屋も造る予定。人員も、特別体制を組む。
 同会館は1974年の茨城国体開催に合わせて建てられたもので、同店は同会館内の合宿所の食堂も兼ねた質素な作り。客の多くを占める運動選手は、質より量を重視する傾向があり、かき込むように食べ終え、競技場に向かう人がほとんどだ。でも、「一口食べて、『あれっ?』と驚く人もいる」と砂押さん。
 カレーは、3種類の肉を使い、10時間煮込んで味をまとめる。カツ丼の煮汁には、鶏肉のだしを混ぜている。ラーメンスープも、門外不出という独自の調味料で仕上げたこだわり品だ。
 砂押さんは、18歳から東京・赤坂の日本料理店で修業した本格派の職人で、現在も東海村で「よし美」という予約専門のウナギ料理店を営む。同園の「よし美」は10年前に同園の依頼で始めた。食堂の経験はなかったが、「臨界事故の風評が残った当時は、本業がうまくいっていなかったから」。でも、「包丁を握る以上は」と、手を抜かずにやってきた。
 だから、全国から毎日700人が、それぞれの味覚を携えてやって来ても、味への不安はない。問題は、いかにスムーズに、間違うことなく料理を提供できるかだ。来客数が1000人を超えることもあり得る。
 それも、職人技で乗り越えるつもりだ。修業時代から体に染みこませたのは、味を整える技術だけではない。「職人の仕事は『段取り八分』だし、まだまだ知恵はある」と、頼もしい。
 店舗の周りは、本番に向けた準備で、いよいよにぎやかになってきた。「職人としての最後の大仕事になるかも」と砂押さん。
 なお、現在、同園は国体開催準備作業で閉鎖されることが多いため、同店も休業中。営業は28日からの予定。










バナースペース

株式会社読売茨城タウンニュース社

〒310-0805
茨城県水戸市中央2丁目7番37号
狩野ビル3階

TEL 029-221-6720(代表)
FAX 029-227-7888

よみうり

タウンニュース

Facebook いいね!