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狩野ビル3階
起源は軍服とも
永遠の胸キュン場面
制服の第2ボタン
中学1年の時の卒業シーズン、親友に付き合って野球部の先輩に制服の第2ボタンをもらいに行った。先輩は少し顔を赤らめて、無言でボタンを手渡してくれた。まるで映画の1シーンのようにまぶしく、今も記者の胸に残る。あれから数十年。今も変わらず、卒業式では胸キュンの現場が広がっているのだろうか。調べてみた。
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そもそも、第2ボタンを贈る風習のいわれは何なのだろうか。聞いたのは、「カンコー学生服」で知られる学生服メーカーの菅公学生服(本社・岡山県)。同社によると、いくつか説があるが、詰め襟学生服の始まりは軍服だったと言われていて、戦地に向かう際、もう会えなくなるかもしれない大切な人に、形見として第2ボタンを渡していたという。
上から2番目のボタンを選ぶ理由は、1番上のボタンを渡してしまうと、だらしなく見えて叱られるが、2番目なら外れていても分かりにくいからという。
2番目のボタンには、「『一番大切な人』という意味がある」「心臓に近いところにあるため、『ハートをつかむ』という意味がある」などの説もある。
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今どきの現場を知る若者たちを、街に訪ねた。
「高校は女子校だったので第2ボタンの話は聞かなかったけれど、中学時代は、もらっている子、いましたよ」とは、水戸市の大学生福島清香さん(22)。「私はもらわなかったけれど、胸が高鳴って、いい思い出」と声を弾ませた。
常陸太田市の大学生久利生(くりう)秋華さん(21)は、中学卒業時に、恋愛などの相談に乗ってくれていた男子に第2ボタンをもらったという。「好きな人にはもらえなかったけれど、大切な思い出。ボタンは、今も引き出しの中にあります」
男子の実体験を代表して話してくれたのは、龍ケ崎市の大学生齊藤鉄さん(22)。高校を卒業する時に、所属していた陸上部の後輩に第2ボタンを渡した。同部の恒例行事だったというが、「ボタンをほしいと言ってくれて、ドキドキしたし、うれしかったです」
近年はブレザーの制服の学校が増えているため、ボタンのやりとり自体は減っているだろう。でも、青春の名場面が、そんな事情でカットされるはずはない。
制服はブレザーという水戸市の高校3年生柳岡咲紀さん(18)によると、第2ボタンの代わりに、ネクタイやジャージーをもらうケースが増えているという。
柳岡さんは、3月1日に迫った卒業式で同級生からネクタイをもらおうと、同じような女子たちと日々作戦を練っている。「今からドキドキ。みんなの思いが届けばいいな」