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夜空を見上げよう
ー 天文学者 布施哲治さん(鹿嶋) ー
「星空は、国や地域、年齢、道具のあるなしに関わらず、誰もが楽しめるもの。庭先でも、会社からの帰り道でもいい。空を見上げてみませんか」とは、鹿嶋市の鹿島宇宙技術センター主任研究員で、天文学や人工衛星の研究・開発をしている布施哲治さん(49)。
本県は、高層ビルや街明かりに遮られることなく星空が楽しめるため、「空が広い」と感じるという。「暗い天体まで見えるし、星が輝く前の夕日も雄大。空を見上げて非日常にふれることは、心のゆとりにつながると感じています」
■ 月を観察
星空観察の初心者におすすめなのは、月の観察。月はだれにでも見つけられ、満ち欠けの様子は肉眼でも楽しめる。
きょう28日は、晴れていれば、三日月から少し太くなった月が西の空に見える。今後さらに丸みを増し、6月7日に満月になる。「毎日同じ時間に見上げて、日々変化する形や位置を比べてみても。小学生に戻った気分で観察してみて」と布施さん。
満月がのぞめたら、月の模様を見てみよう。日本では、「ウサギがもちつきしている姿」に見えるといわれるが、アメリカでは「バケツを運ぶ少女」、ヨーロッパでは「本を読む老女」、アラビアでは「ライオン」と見るなどさまざまだ。
月にまつわる現代的な話題は、アメリカが主導して2024年に、51年前のアポロ計画以来の月の有人探査を予定していること。「着陸を想像しながら眺めるのも夢が広がります」
■ 星見は対象を絞って
市販の「星座早見盤」は、日付と時刻を合わせてどんな星が見られるのかがわかるもの。便利だが、多くの星が描かれているため、すべてを追いきれず、挫折してしまう場合もあるという。まずは、目立って光る星や、お気に入りの星を見つけて絞って調べるのもいい。
布施さんのおすすめの天文現象は、6月21日に見られる部分日食。「昼間が最も長くなる夏至の午後4時頃から6時頃にかけて、日本全国で見られる。次に全国で部分日食が起こるのは、10年も先の2030年。日食グラスを使って眺めてみて」