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カレー風味のピラフ
手で食べるのが一番おいしい
ケニアの「ピラオ」 カウィーチェ・マエダさん(北茨城)
ケニア出身のカウィーチェ・マエダさん(31、北茨城)は、「ふるさとの味の代表格」として調理してくれたピラオを、いつのまにか手でつまんで食べていた。
「だって、今日はみんなが集まってくれた特別な日だから」
カウィーチェさんは、来日3年目。英語指導の助手として同市内の中学校に勤務している。
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調理してくれた場所は、カウィーチェさんにとっての「日本の両親」だという中澤守一さん(77)、千枝子さん(71)夫婦の家。中澤さん夫婦の友人も訪ねていた。
ケニアでも普段はスプーンを使い、パーティーなどの特別な機会だけ、手で食べるという。パーティーで手を使うのは、参加者同士の親睦を深める効果があるからという。守一さんが、「日本でいえば、同じ釜の飯を食べるという感覚かな」というと、大きくうなずいた。
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ピラオは、カレー味のピラフに似た料理。本来は数えきれぬほどのスパイスを使うが日本では入手が難しい。カウィーチェさんはケニアに里帰りするたびに、スパイスを買いそろえて、ピラオ用にブレンドして持ってくるという。
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ケニアの女性は、小さな頃から料理を手伝うのが普通だという。だいたいは、母親やおばなど、女性ばかり数人での楽しい作業になった。
今回、カウィーチェさんはピラオ以外にも数品のケニア料理をつくってくれた。調理は、千枝子さんと友人の女性も含めた共同作業。それは、「何となくケニアでの暮らしを思い出させた」と、カウィーチェさん。
カウィーチェさんの、中澤さん夫婦らに対する親しみの深さは、出会いの形が独特だったことも影響している。
「迷子になっちゃったの」とカウィーチェさん。
日本に来て間もない日のこと。日本語力は、まだゼロ。自転車で近所探検に出掛けたカウィーチェさんは、迷路のように入り組んだ住宅地で右も左も分からなくなってしまった。数時間を経て、精も根も尽きてたたずんでいたのが、中澤さん宅の前だったという。