▲たくさんの思いがこもる大会のシンボル
炬火は、聖火よりも熱い≠ゥも?
近ごろ、「炬火(きょか)」という言葉をよく耳にする。今秋開催の茨城国体関連の言葉だ。炬火は、オリンピックでいう聖火に当たり、開催期間中、大会のシンボルとなる。辞書には、「たいまつ」や、「かがり火」のこととある。
「聖火と呼べば分かりやすいのに」という意見はもっともだが、オリンピックでは、その起源がギリシャ神話に関連することから、神を意味する「聖」が当てられている。聖火は、英語では「セイクリッド・ファイア」という。セイクリッドの意味は、「神聖な」「神の使いの」などだ。
国体に炬火が登場したのは1950年の5回大会。オリンピックの聖火を意識したのは間違いないが、国体の起源や目的は、「聖」という言葉とは親和性が薄く、直接的な表現が使われることになったのだろう。
全市町村の火が集まる
炬火に込められた思いが、聖火に対して劣るというわけではない。特に茨城国体では、炬火へのこだわりが強いといえる。
茨城国体の炬火は、今年3月以降、県内の44市町村の、少なくとも170か所を超える場所でともされた火が、開会式の直前にまとめられるもの。
全市町村から火を集める“茨城式”は、近年の国体では珍しいという。
「全県で国体を盛り上げようという気持ちの表れ」とは、県大会広報担当の水橋千秋さん。茨城国体では、全44市町村で何かしらの競技(デモンストレーション競技含む)が行われる。これも、すべての開催都道府県で見られることではないという。
火をともす作業は、「採火」と呼ばれ、「採火イベント」として盛大に行う場所がほとんど。木と木をこすり合わせた摩擦熱で火をおこすマイギリという道具を使った場所もある。
鹿嶋市では、これまで市公民館などで10回以上の採火イベントを行った。それぞれの火は、炎として保存するのは難しいため、金属ケース内に火だねとして保管しているという。「すべての火が集まって炎になる様子を思うと、感動的」と同市国体推進室の山口和範さん。
採火イベントは、今後も、県内各地で行われる。開催スケジュールは、大会実行委員会事務局ホームページに掲載。
▲炬火をともすトーチと炬火受け皿。受け皿は、笠間焼で作られた